病院コラム
Column犬の歯が折れたら抜歯しかない?歯を残す『根管治療(歯内療法)』を獣医師が解説【大阪・吹田】

「愛犬の歯が欠けていることに気付いた」
「歯の真ん中に赤い点が見える」
「動物病院で『抜歯が必要です』と言われた」
このようなご相談をいただくことがあります。
犬の歯は、一度折れてしまうと自然に元通りになることはありません。しかし、すべての歯が抜歯になるわけではなく、状態によっては歯を残せる可能性があります。
その選択肢の一つが根管治療(歯内療法)です。
人の歯科では一般的な治療ですが、犬では歯科用レントゲンや専用機器、高度な歯科知識・技術が必要となるため、実施できる動物病院は限られています。
この記事では、犬の歯が折れた際の適切な対応や、歯を残すための根管治療について詳しく解説します。
犬の歯が折れる原因とは?
犬の歯が折れる原因として多いのは、「硬すぎるものを噛むこと」です。

特に注意したいものには、
- 鹿の角
- 牛骨や豚骨
- 非常に硬いデンタルガム
- 木のおもちゃ
- ケージや金属製の柵
- 大きな石
などがあります。
また、
- ボール遊びやフリスビーでの衝突
- 高所からの転落
- 交通事故
などの外傷でも歯が折れることがあります。
特に犬歯や上顎第四前臼歯(裂肉歯)は破折しやすい歯として知られています。
「少し欠けただけ」でも放置は危険です
歯が少し欠けただけに見えても、実際には歯の中心にある歯髄(神経や血管)まで達していることがあります。

神経が露出すると細菌感染が起こり、
- 強い痛み
- 歯の根の感染(根尖病変)
- 顎の骨への炎症
- 歯肉の腫れや膿
などにつながる可能性があります。
犬は痛みを隠す動物です。
「いつも通りご飯を食べているから大丈夫」と思っていても、慢性的な痛みを抱えながら生活しているケースは少なくありません。
神経が見えている場合は早めの受診を
歯が折れた際に、
- 歯の中心が赤く見える
- 小さな黒い穴が見える
- 歯が大きく欠けている
場合には、神経が露出している可能性があります。
神経が感染すると時間の経過とともに細菌が歯の根まで広がり、歯を残せる可能性が低くなってしまいます。
歯が折れたことに気付いたら、できるだけ早く動物病院を受診することが重要です。
抜歯以外に方法はないのでしょうか?
「歯が折れた=抜歯」と考えられることも少なくありません。
もちろん、
- 歯根まで割れている
- 重度の歯周病がある
- 歯を残しても機能しない
ような場合には抜歯が最善となります。
しかし、
- 歯根の状態が良好
- 周囲の骨が保たれている
- 感染がコントロール可能
であれば、根管治療によって歯を温存できる可能性があります。
根管治療(歯内療法)とは?
根管治療とは、歯の内部にある感染した歯髄を取り除き、根管内を洗浄・消毒したうえで、専用の材料で緊密に封鎖する治療です。
人の歯科で「神経を取る治療」と呼ばれるものと基本的な考え方は同じです。
一般的な流れは、
- 全身麻酔
- 歯科用レントゲンによる確認
- 感染した歯髄の除去
- 根管内の洗浄・消毒
- 根管充填
- 歯の修復
- 歯科用レントゲンによる再度確認
となります。
適切に治療を行うことで、歯を残したまま感染をコントロールできる可能性があります。
抜歯と根管治療の違い
| 抜歯 | 根管治療 |
|---|---|
| 痛みや感染源を除去する | 歯を残すことを目指す |
| 歯は失われる | 自分の歯を温存できる |
| 適応範囲が広い | 保存可能な歯が対象 |
| 比較的広く実施されている | 専門的な設備・技術が必要 |
どちらが優れているということではありません。
歯を残すことがその子にとって本当にメリットになるかどうかを見極め、適切な治療法を選択することが重要です。
犬歯を残すことのメリット
犬歯は見た目だけでなく、
- 食べ物をくわえる
- おもちゃで遊ぶ
- 物を保持する
- 口元の形を保つ
など、大切な役割を担っています。
そのため、保存できる歯であれば、可能な限り温存することは生活の質(QOL)の維持にもつながります。
一方で、感染が重度で予後が期待できない歯を無理に残すことはおすすめできません。
だからこそ、「残せる歯かどうか」を正確に診断することが大切です。
根管治療は高度な歯科治療です
根管治療は、歯石除去や通常の抜歯とは異なる専門的な歯科治療です。
治療には、
- 歯科用レントゲンによる精密診断
- 根管の長さや形態を正確に把握する技術
- 専用の歯内治療器具
- 無菌的な処置
- 術後の適切な評価
が求められます。
そのため、犬の根管治療を実施している動物病院は大阪府内・関西圏でも多くはありません。
歯を残せるかどうかは、設備だけではなく、診断力や歯科治療の経験も重要になります。
当院の歯科診療について
当院では経験豊富な歯科専門医と連携し、
- 歯科用レントゲンによる精密検査
- 根管治療(歯内療法)
- 難易度の高い抜歯
- 歯周病治療
- 口腔内腫瘍の診断・治療
など、幅広い歯科診療や口腔外科に対応しています。
「抜歯しかないと言われたけれど歯を残せる可能性はあるのか」
「セカンドオピニオンとして相談したい」
というご相談も歓迎しています。
よくある質問
Q. 歯が折れても痛がっていません。本当に受診が必要ですか?
はい。犬は痛みを我慢することが多く、見た目では判断できません。神経が露出している場合は感染が進行する可能性があるため、早めの診察をおすすめします。
Q. 根管治療はすべての犬でできますか?
いいえ。歯の破折の程度や歯根の状態、感染の有無などを歯科用レントゲンで評価し、適応を判断します。
Q. 根管治療と抜歯はどちらが良いのでしょうか?
歯を残せる条件が整っている場合は根管治療が有力な選択肢になります。一方で、保存が難しい歯では抜歯が最善となることもあります。
Q. 治療には全身麻酔が必要ですか?
はい。安全かつ精密な処置を行うため、全身麻酔下で実施します。
まとめ
犬の歯が折れてしまった場合でも、必ずしも抜歯になるとは限りません。
歯の状態によっては、根管治療によって大切な歯を残せる可能性があります。
一方で、治療法はすべての症例で同じではありません。歯を残すことが適しているのか、それとも抜歯が望ましいのかは、歯科用レントゲンを含めた精密な診断によって判断する必要があります。
当院では、歯科専門医と連携し、歯科用レントゲンを用いた精密診断から根管治療、難易度の高い抜歯まで幅広い歯科診療を行っています。
吹田市・豊中市・茨木市・高槻市・箕面市・摂津市をはじめ、大阪市や大阪府内各地、他府県(兵庫県、和歌山県、滋賀県、京都府、高知県)からもご相談を多数いただいております。
「歯が折れた」「神経が見えている気がする」「抜歯しかないと言われた」——そのような場合でも、歯を残せる可能性があるかもしれません。
まずはお気軽にご相談ください。
次回は症例紹介!
次回のコラムでは、実際に犬の犬歯に対して根管治療を行い、歯を温存することができた症例を、実際の手術写真とともに詳しくご紹介します。
はしもと吹田アニマルクリニック
院長 橋本雄大
大阪府吹田市山田東2-10-3
06-6875-5735
駐車場有り(10台分)
吹田市・豊中市・摂津市・箕面市・守口市・茨木市からの来院多数
大阪市内からも車でのアクセス良好です🚗
🐶関西発の症状別外来(かゆみ外来、せき外来、げり外来)設置
🐱得意分野: 皮膚科、呼吸器科、麻酔科、腫瘍科、外科
🐰吹田市で最も愛される病院を目指すべく、日々研鑽に努めてます
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