病院コラム
Column【獣医師が警鐘】今年はすでに昨年を上回るペース。犬・猫の熱中症が急増しています
7月に入り、本格的な暑さが続いています。
実際に当院では、昨年7〜8月だけで約10件の熱中症を診療しました。そして今年は、7月の時点ですでに昨年を上回るペースで熱中症の患者さんが来院しています(当院比)。
なかには集中治療を行っても救命できず、命を落としてしまった子もいます。つい先日も、熱中症で搬送された患者さんを救うことができませんでした。
熱中症は、「少し暑そうにしているだけ」と思っていた状態から、わずか数時間で命に関わることもある非常に危険な病気です。
診察で飼い主様からよく伺うのは、
「エアコンはつけていました。」
「散歩は10分くらいだったんです。」
「室内だから安心だと思っていました。」
という言葉です。
しかし実際には、室内や短時間の散歩でも熱中症は起こります。重症化すると脳や腎臓、肝臓など全身の臓器に障害を起こし、命に関わることも少なくありません。
また今年は、犬や猫だけでなく、ウサギやハムスターなどのエキゾチックアニマルの熱中症で来院されるケースも例年以上に増えており、暑さ対策が必要なのは犬だけではないことを改めて実感しています。
昨年も当院では熱中症について注意喚起の記事を公開し、多くの反響をいただきました。また、その内容をきっかけにメディアから取材を受ける機会もありました。
▶ 以前の熱中症コラムはこちら
🌞夏の熱中症対策!ペットのためにできること
動物の熱中症予防について毎日新聞から取材を受けました
今年は、実際の診療現場で起きている変化も踏まえ、より詳しく熱中症についてお伝えしたいと思います。
犬や猫は人より熱中症になりやすい理由
人は汗をかくことで体温を下げることができます。
一方、犬や猫は全身で汗をかくことができません。特に犬は、「ハアハア」と呼ばれるパンティングによって体温を調節しています。
そのため、
- 気温が高い
- 湿度が高い
- 風通しが悪い
- 興奮している
といった条件が重なると、体温調節が追いつかず、熱中症を発症してしまいます。
特に湿度が高い日本の夏は、パンティングだけでは十分に熱を逃がせないことも多く、注意が必要です。
実は7月が最も危険な時期です
「一番暑い8月が危ない」と思われがちですが、動物病院では7月頃から熱中症が急増します。
その理由として、
- 体がまだ暑さに慣れていない
- 湿度が高い日が続く
- 飼い主様も「まだ大丈夫」と油断しやすい
ことが挙げられます。
梅雨明け直後や急に暑くなった日は、特に注意してください。
「エアコンをつけていたのに熱中症」は珍しくありません
熱中症で来院された患者さんの中には、
「エアコンはつけていました。」
というケースも少なくありません。
原因としては、
- 設定温度が高かった
- 日差しで部屋の一部だけ高温になっていた
- ケージやキャリー内に熱がこもっていた
- エアコンの風が届いていなかった
- 停電やエアコンの不具合
などが考えられます。
一般的には24〜26℃程度を目安にしつつ、室温だけでなく、犬や猫が実際に過ごしている場所の環境も確認することが大切です。
車内での待機は数分でも危険です
夏場の車内は短時間で非常に高温になります。
「コンビニに少し寄るだけ」
「5分くらいだから」
という油断が命取りになることもあります。
エアコンをつけている場合でも、トラブルで停止する可能性はゼロではありません。
犬や猫だけを車内に残すことは避けましょう。
特に注意が必要な犬・猫
すべての犬猫で熱中症は起こりますが、特に注意が必要なのは以下のような子たちです。
短頭種
- フレンチ・ブルドッグ
- パグ
- シーズー
- ペキニーズ
- ボストン・テリア
呼吸による体温調節が苦手なため、短時間でも重症化することがあります。
高齢の犬・猫
加齢とともに体温調節機能は低下します。
持病がある子も多く、熱中症が重症化しやすい傾向があります。
子犬・子猫
体温調節機能が未熟で、脱水もしやすいため注意が必要です。
肥満の犬・猫
体内に熱がこもりやすく、呼吸への負担も大きくなります。
心臓病・呼吸器疾患のある子
わずかな暑さでも呼吸状態が悪化し、重症化することがあります。
ウサギ・ハムスターなどのエキゾチックアニマル
今年は当院でもエキゾチックアニマルの熱中症で来院されるケースが増えています。
犬や猫だけでなく、小動物も暑さに非常に弱い動物です。
ケージ内の温度管理には十分注意してください。
熱中症の初期症状を見逃さないでください
初期には、
- 呼吸が速い
- ハアハアが止まらない
- よだれが増える
- 元気がない
- 落ち着きがない
などの症状がみられます。
さらに進行すると、
- 嘔吐
- 下痢
- ふらつき
- ぐったりする
- けいれん
- 意識がもうろうとする
など、命に関わる状態になります。
「少し様子がおかしい」と感じた時点で受診することが大切です。
熱中症が疑われたら
熱中症が疑われる場合は、
- 涼しい場所へ移動する
- エアコンを使用する
- 常温の水で体を濡らし、風を当てて冷却する
- 飲める場合は少量ずつ水を飲ませる
- すぐに動物病院へ連絡・受診する
ようにしてください。
氷水に浸けるなど急激な冷却は、かえって体に負担をかける場合があるためおすすめできません。
「少しだから大丈夫」が最も危険です
今年、私たちは昨年以上に多くの熱中症を診療しています。
そして、その中には救うことができなかった命もありました。
熱中症は、防げる可能性が高い病気です。
だからこそ、「室内だから」「エアコンをつけているから」「散歩は短時間だから」と安心せず、この時期はいつも以上に暑さ対策を意識していただきたいと思います。
気になる症状があれば、お早めにご相談ください
熱中症は、早期発見・早期治療によって救命できる可能性が大きく変わる病気です。
呼吸が速い、元気がない、ぐったりしているなど、「いつもと違う」と感じたら、様子を見続けず、お早めにご相談ください。
当院では犬・猫はもちろん、ウサギやハムスターなどのエキゾチックアニマルの診療にも対応しています。
大切なご家族が元気に夏を乗り切れるよう、スタッフ一同サポートいたします。
はしもと吹田アニマルクリニック
院長 橋本雄大
大阪府吹田市山田東2-10-3
06-6875-5735
駐車場有り(10台分)
吹田市・豊中市・摂津市・箕面市・守口市・茨木市からの来院多数
大阪市内からも車でのアクセス良好です🚗
🐶関西発の症状別外来(かゆみ外来、せき外来)設置
🐱得意分野: 皮膚科、呼吸器科、麻酔科、腫瘍科、外科
🐰吹田市で最も愛される病院を目指すべく、日々研鑽に努めてます
新着コラム
- 【獣医師が警鐘】今年はすでに昨年を上回るペース。犬・猫の熱中症が急増しています
- 【新サービス:訪問看護始めました】おうちで過ごす、その子らしい毎日のために
- 【大阪府・吹田市・北摂地域】猫のいびき・鼻づまりは短頭種気道症候群かも?外鼻孔狭窄症の手術治療と改善症例
- 【2026年春期実績】猫伝染性腹膜炎(FIP)の治療症例が増えています(大阪府・吹田市・北摂地域)
- 【大阪府・吹田市・北摂地域】犬猫の口腔内メラノーマとは?
- 【大阪府・吹田市・北摂地域】猫の尿管閉塞手術について|この約1か月で4頭の手術を行いました
- 【獣医師が解説】猫の尿管結石の治療|SUBシステム・尿管ステント…等々(大阪・北摂の動物病院)
- 【獣医師が解説】猫の尿管結石とは?原因・症状・検査|大阪府・北摂地域で猫の尿管閉塞治療なら当院へ
- 【吹田市・北摂地域・大阪府の動物病院が解説】チンチラの腸重積とは?症状・緊急手術・早期発見のポイント
- 犬・猫のメラノーマ治療|ルペオール注射という新しい選択肢|はしもと吹田アニマルクリニック